知ると楽しい!『時計パーツ』~針の種類・名前~
2024-10-21 11:00
こんにちは。いつもエバンスブログをご覧いただき、ありがとうございます。
文字盤上で時刻を示す「針」。時計パーツの中でも、誰もがもっとも目にする部品ではないでしょうか。針には様々なデザインや形があります。シンプルなものから個性的なものまで。そのデザインや形により時計自体の印象がだいぶ変わります。また美観的な効果だけでなく、時計の用途や機能に影響する視認性においても、大切な役割を果たしています。
今回はそんな「針の種類と名前 」についてご紹介したいと思います。意識して見比べてみると、時計選びも一層楽しくなりますよ。
針
針は「 ハンド( hand )」とも呼ばれます。handという英単語自体が 「(時計の)針」 という意味がありますので、そのまんまですね。
でもなぜ? 「 hand =手」 と「 針 」が同じなのでしょうか。「手」にはものを指し示す働きがあることから、同様に、時を指し示すということで「時計の針」という意味が生まれたそうです。
また、少し話は反れますが、腕時計の「ウォッチ(watch)」と「 watch =見る」こちらもなぜ?同じなのでしょうか。一説によると、17世期のヨーロッパにおいて、城や街で監視を行う「警備員・見張り番(watchman)」が、交替の時間を確認するために、懐中時計を使っていたことに由来すると言われているようです。
時計のよもやま話はさておき本題に戻ります。
様々なデザインの「針」をいくつかピックアップしご紹介いたします。見慣れていたデザインの「針」でも名前は知らなかった!ということもあるのではないでしょうか。
バー針
その名のとおり棒状で、先端が平になっているのが特徴です。最もシンプルな形状の針で、多くのモデルに採用されています。
ペンシル針
先端が尖って鉛筆のように見えることから「ペンシル針」と呼ばれます。針の中央部に夜光塗料が施されているものが多く、視認性も高いためミリタリー系の時計に多く見られるデザインです。
バトン針
形はペンシル針と似ていますが、細身の棒状で先端はなだらかな山形になっています。
リーフ針
長い葉っぱのような形状から名付けられた「リーフ針」。細身で緩やかに伸びるデザインが、繊細でクラシカルな印象を醸し出します。ドレス系の時計に幅広く使われています。
ドルフィン針(ドーフィン針)
針の根本は太く、先端に向かって細くシャープに尖った形状の針です。ドルフィン針は、フランス語で「王太子妃」を意味する(ドーフィン針)とも呼ばれています。パテックフィリップやグランドセイコーでも多く採用されています。
アルファ針
ギリシャ語のアルファベットで1番を意味する「α」から名付けられています。 ドルフィン針と似ていますが、こちらは針の根本が絞ったようにくびれているのが特徴で、スタイリッシュな印象を与えます。
ローザンジュ針
ローザンジュはフランス語で「菱型」を意味し、その名のとおり菱形の針です。ドルフィン針やアルファ針とは異なり、針の中央付近が太くなっているのが特徴です。
ブレゲ針
「ブレゲ」の創業者、アブラアン=ルイ・プレゲにより考案された針です。針の先端に月を思わせる丸い穴が開いたデザインが特徴です。上品でクラシカルな印象のブレゲ針は、多くのブランドのドレスウォッチで採用されています。
スペード針
針の先端部分がスペードマークの形となった個性的なデザイン。美しさと愛らしい印象を与えつつ、先が尖っていることで視認性にも優れています。スペード針は、時針のみに使われることが多いです。
ソード針 (剣型針)
針の先端と軸が細く、剣(ソード)のような形状の針です。夜光を塗布できる面積も広く視認性にも優れています。反対に針の中央部分をスケルトン化しデザイン性を持たせたものも多く見られ、多くのスポーツ仕様のモデルで採用されています。
また、 スタイリッシュな細身 の「 ソード針(剣型針)」に青焼きしたものが、カルティエ時計において定番となっており、多くのモデルに採用されています。
シリンジ針
先端に細い突起がついていてシリンジ(注射器)のように見えることから名付けられています。アンティークウォッチで見かけることが多く伝統的な形状の針のひとつです 。
ベンツ針(メルセデス針)
ドイツの高級自動車メルセデスベンツのマーク「スリーポインテッドスター」に似ていることから「ベンツ針」または「メルセデス針」と呼ばれています。ダイバーズ系のモデルやロレックスのスポーツモデルに多く採用されています。
アロー針
その名のとおり針の先端が矢印(アロー)の形状の針です。視認性の高さから、ダイバーズ系のモデルやGMTの針として多く用いられています。
スノーフレーク針 ( イカ針 )
1970年代に「チューダー(チュードル)」のダイバーズウォッチに取り入れられたのが始まりで、同社のアイコン的なデザインとして認知されています。見た目がイカのような形状のため、日本では「イカ針」とも呼ばれています。
コブラ針
時針の先端がコブラの頭部のような形状の「コブラ針」。1940年代頃に多く使われていたデザインです。現在は、パイロットウォッチやミリタリーウォッチで使われることが多い針です。
イナズマ針
雷のようなジグザグした形状の「イナズマ針」。ロレックスが誇る耐磁モデル「ミルガウス」に使用されている針です。時針・分針のシンプルなバー針に、オレンジ色に着色された秒針「イナズマ針」が目を引きます。
サーペント針
蛇を意味する「サーペント」。その名の通り湾曲し蛇行しているかのような形状の針です。「サーペント針」は時刻表示以外の用途で使われることがほとんどです。
アップル針
その名の通り林檎(アップル)のような形状から「アップル針」と呼ばれています。パテックフィリップのコンプリケーションモデル「ワールドタイム」で使用されている針です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。改めて着目してみると、針にも様々な種類があり、それぞれに名前が付いていることがお判りいただけたかと思います。
皆様のお好みはどの針でしょか。ぜひ時計選びの際には、針にも注目し見比べてみてください。
【 過去ブログ紹介 】 ・知ると楽しい!『時計パーツのニックネーム(愛称・通称)』リューズ編