エバンスブログ

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「ヒストリークトリプルカレンダー1948」

2025-03-11 11:00

こんにちは、銀座エバンスの稲田です。
本日はヴァシュロンコンスタンタンから「ヒストリーク トリプルカレンダー1948」のご紹介です。

ヴァシュロンコンスタンタンとは

1755年、270年もの歴史を持つ世界三大時計のひとつです。ちなみに、他のふたつはパテックフィリップとオーデマピゲで、パテックフィリップは1839年(創立186年)、オーデマピゲが1875年(創立150年)であることから、ヴァシュロンコンスタンタンがいかに歴史の深いメゾンであることが分かりますよね。

”ジャン=マルク・ヴァシュロン”が小さな時計工房を開いたのがはじまりで、そこから270年、1960年代に起こったクォーツショックで時計業界が大打撃を受け経営が困難となり、存続が不可能となってしまったメゾンが多く存在した中、ヴァシュロンコンスタンタンは一度も途絶えることなく、現在もなお歴史を刻み続けている稀有なメゾンです。

ヴァシュロンコンスタンタンといえば「オーヴァーシーズ」を思い浮かべる方が多いと思いますが、「パトリモニー」、「トラディショナル」というクラシカルかつシンプルなモデルがあることを忘れてはなりません。現行のラインナップは、2018年に発表された読み取りやすい数字が特徴の「フィフティーシックス」、トノー型の「マルタ」、エナメルコレクション「メティエ・ダール」、後程詳しくお話する「ヒストリーク」。レディースは「エジュリー」、「ウ-ル・クレアティブ」というダイヤモンドセッティングが美しいモデル達で構成されています。

ヴァシュロンコンスタンタンとは、伝統を重んじ、現代的な要素を取り入れつつも流行に流されることなく、卓越した技術と共にこれからも探求心を持って進化し続けるマニュファクチュールなのです。

創業270年!

今年2025年は、創業270年を記念してあの伝説の「222」ステンレスモデルを発表(正確には復刻)。なぜこの数字なのかと言うと、1755年から222年経ったお祝いに作ったモデルだからなんです。1970年代のスポーツウォッチとはこんな形という概念を覆す、とても大胆なデザインの「222」は1970年代を象徴するトレンドウォッチとなりました。(オーデマピゲのロイヤルオークが誕生したのもこの年です)「222」は今で言う”ラグスポ”(ラグジュアリースポーツウォッチ)の先駆けといっても過言ではありませんよね。(上写真)

「222」は知る人ぞ知る、”ヨルグ・イゼック”によるデザインで、彼はロレックスのデザイナーとして1975年~1979年まで在籍した後、1980年には自身のデザイン事務所を開設、1999年に発表したファーストモデル、ギリシャ語で橋を意味する「Kilada(キラダ)」は、大きめのレクタンギュラーモデルで、まるでバングルのように腕にフィットする、横から見るとその名の通り”橋”のようなエキセントリックなデザインです。2006年には会社を後進へと譲り、”HYSEK(ハイゼック)”とブランド名を改め、現在もヨルグ・イゼックデザインの意匠を受け継ぎ、人間工学に基づいた意欲的なモデルを製作しています。

同氏がデザインした代表的な作品は「222」の他、ブレゲの初代「マリーン」、タグホイヤーの「キリウム」、クレドールの「エントラータ」などがあるのですが、特に1990年に発表した初代マリーンで、時計のデザイナーといえば?という問いに巨匠”ジェラルド・ジェンタ”と一緒に名前が挙がるほど、有名になったのです。
伝統を大切にしながら、現代的な要素も柔軟に取り入れる、老舗なのに奢らず控えめなヴァシュロンコンスタンタンが私は個人的に大好きで、これからどんな作品に出逢わせてくれるかが本当に楽しみなんです。

ヒストリークとは

先述した「222」、今回ご紹介する「トリプルカレンダー1948」、今なお愛好家の多い斜め文字盤が特徴的な「ヒストリーク アメリカン1921」(上写真)これらはヴァシュロンコンスタンタンを象徴するモデル達で、ヒストリークコレクションとは、現代風にアレンジして復刻された伝説のコレクションのことです。

今現在在庫のある「コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ1955」、「1912」もヒストリークコレクションのひとつであり、そのほとんどが”世界限定〇〇本”という稀少なモデルです。ちなみに”牛の角”みたいなラグを持つ「コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ1955」は限定ではなく、2015年にプラチナモデルが、その翌年にピンクゴールドモデルが発表され今に至ります。(下写真)

余談ですが、実は2015年には僅か36本という「ホディンキー限定」の黒に近いグレー文字盤の「コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ・ステンレスモデル」が発表されて瞬く間に完売となりました。(調べてみた所、ホディンキーの定価は468万円なのですが、2020年のフィリップスオークションで、約786万円で落札されていました・・・!)そして私見なんですが、ヴィンテージ感溢れるツーカウンタークロノグラフに控えめな細字のローマインデックス、大き過ぎず小さ過ぎないタキメーター表記、ブランドロゴとマークも絶妙なバランスで、すべてがパーフェクトな端正な顔立ちに、いつ見ても惚れ惚れしちゃいます。大きく開いたシースルーバックから覗く複雑なムーブメントも見事です。

ヒストリークコレクションとは、当時のオリジナルモデルを忠実に再現し、現在の最新技術と最高の素材、伝統的な色味や古典的な文字盤の配置、すべてが完璧に融合した新しいのにクラシカルな印象の腕時計コレクションのことです。まさに、ヴァシュロンコンスタンタンの理念を体現したコレクションと言えるでしょう。

ヒストリーク トリプルカレンダー1948とは

1940年代の象徴的なモデルを現代的なアレンジを加えて再現した、2017年の世界限定200本のレアモデルです。実はこの時もう一種類「ヒストリーク トリプルカレンダー1942」というモデルが製作されていて、そちらはムーンフェイズ部分が秒針になっているシンプルなトリプルカレンダーでステンレス製、インデックスはアラビア数字なので印象ががらりと変わります。ステンレスの方は限定ではなく、現在は生産終了しているので、おそらくワンショット生産だと思われます。(上写真)

今回ご紹介する「ヒストリーク トリプルカレンダー1948」はピンクゴールド製で、色はブルーとボルドーの二種製作された内のボルドーのモデルです。一番の特徴は”トリプル・ゴドロン装飾”(16世紀頃から存在する装飾モチーフで、丸く隆起したモールディングのこと)ケースで、ラグも”クロウ(かぎ爪)型”という特別仕様になっています。(下写真)

特筆したいのは、ムーンフェイズの色で、ムーンフェイズといえば”ブルー”またはブラック、というよりブルーやブラック以外のムーンフェイズをこの業界に入って約20年、見たことがないのですが、この特別なモデルはカレンダー表示色に合わせた”ボルドー”のムーンフェイズなんです!(ちなみに数年前からオメガのブラックのムーンフェイズがあるのは知っていたのですが、調べてみると、豪華なプラチナのスピードマスターで、ルビーがインデックスにセットされたモデルで真っ赤なムーンフェイズが、エメラルドがセットされたモデルで深緑のムーンフェイズが存在することを確認しました)

ヴァシュロンの”ボルドームーンフェイズ”は、赤過ぎず、薄過ぎず、角度によって見える色が変わる本当に絶妙で控えめなカラーで、少し黄身がかったシルバーオパーリン文字盤色との調和が見事でいつまで見ていても飽きないんです。(下写真)古典的なトリプルカレンダーと、現代技術の融合、それがヒストリーク トリプルカレンダー1948なのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した「ヒストリーク トリプルカレンダー1948」は国内には現時点でここエバンスにしか在庫がなく、実物をご覧になって初めてこのモデルの良さを実感いただけるはずです。この記事を読んで気になられた方は是非、手に取ってじっくり細部までご覧になってみていただきたいです。

そして先述した「1912」、「コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ」の他、「トラディショナル(スモールセコンド)」、「トラディショナルコンプリートカレンダー」、「パトリモニー(プラチナ)」、「オーヴァーシーズクロノグラフ」など、いろいろな魅力的なモデルを同時にご覧いただけます。
みなさまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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