クロノマットJSP~AB0115~
2025-08-12 11:00
エバンスブログをご覧の皆様こんにちは。
高級腕時計の中でも、メカニカルな意匠で機械ものが好きな方から高い支持を得るメーカーの一つがブライトリングです。数あるブランドの中でもパイロットウォッチの雄として知られています。ロレックスやオメガより知名度は劣るやもしれませんが、根強いファンが多いブランドでもあります。
クロノグラフのパイオニアとして知られ、単に時刻確認をする為だけでなく、パイロットウォッチ特有の計器としての側面も併せ持ちます。時計デザインだけでなく、実用性に優れたアイテムとしての一面が魅力です。
今回はそんなブライトリングから、逞しく機能美溢れるクロノマットJSP Ref.AB0115 をご紹介をさせていただきます。

①ブライトリングとは
ブライトリングは航空業界との関わりが深く、パイロットウォッチのプロフェッショナルとして知られています。時計玄人に愛されるブランドの一つであり、数々の名作モデルを生み出してきた一流の高級腕時計メーカーです。創設から「プロフェッショナルの為の計器」を造るという哲学の通り、時間計測や精度に重点を置いた時計作りを行ってきました。
創設者はレオン・ブライトリング。1884年にスイスのサンティミエに小さな工房を作ったことで歴史の幕が開けます。クロノグラフやストップウォッチといった精密機器を製作し、当初からその時計製造技術は世間から高く評価されていました。軍需産業やスポーツ産業分野でのクロノグラフの注目度や需要が高まってきたことも敏感に察知していたそうです。レオンはクロノグラフの研究に技術を注ぎ、特許を取得するなどブランドの発展に努めたのです。
そんなブライトリングの歴史はクロノグラフの歴史と言っても過言ではなく、その分野においてパイオニアとして知られています。レオンの息子であるガストンが後継者となった後、現在のクロノグラフの原型となる30分積算計が備わったワンプッシュクロノグラフの開発に成功し、ブランドの大きな発展に繋がりました。
息子の「ガストン」、孫の「ウィリー」と3代に渡り事業を拡大し、レオンの残したパイオニア精神とクロノグラフへの情熱はしっかりと受け継がれ、時計界に名作を残していくブランドへと成長していきます。
現在のブライトリングは全てのモデルにCOSC認定クロノメータームーブメントを搭載している唯一のブランドであることも特徴です。
クロノメーターとはCOSC(スイス公認クロノメーター検査協会)が行う時計の精度検査であり、厳格な認定基準をクリアしたムーブメントのみ得る事の出来る認定です。スイス国内で毎年製造される時計の内、認定を受けれるものは僅か5%というのですから狭き門です。こうした精度検定をどのモデルもクリアしているのですから信頼性も抜群です。
パイロットウォッチとして、「プロの為の計器」と掲げているブランドですから精度だけでなく、外装の作りも一級品です。使用されるステンレススティールは「316L非磁性ステンレススティール」で、硬質で錆びにくいといった特徴を持ちます。
クロノグラフのデザイン性の高さと、コックピットを意識させる文字盤。外装はほど良いボリュームがあり、細やかな仕上げで高級感に優れた見た目です。航空業界との密接な関わりも多いことから、多くのファンが付いています。
アイコンモデルの「ナビタイマー」を筆頭に、「クロノマット」「アベンジャー」「トップタイム」「クラシックアヴィ」「プレミエ」といった他ブランドにはない個性的なモデルらがコレクションされています。
②クロノマット
クロノマットは1942年に回転計算尺を備えたベゼルが特徴のパイロットウォッチとして登場しました。そのスタイルはナビタイマーへと引き継がれていく事になるので、ナビタイマーの前身とも言えるモデルです。
ナビタイマーとクロノマットの違いは、どちらもブライトリングの代表的なパイロットウォッチですが、デザインと機能性に違いがあります。ナビタイマーは、回転計算尺を搭載したクラシカルなデザインが特徴で、一方のクロノマットは、より現代的で洗練されたデザインと、ブライトリングの技術力を象徴するモデルとして位置づけられています。
初代クロノマットは1983年にイタリア空軍のエアロバティックチームの「フレッチェ・トリコローリ」の為に開発をされました。これをデザインしたのは、「アーネスト・シュナイダー」ブライトリングの四代目社長です。1979年に経営を引き継ぎ、クロノマットの開発に着手することになります。
この時期は所謂クォーツショックと呼ばれている時代です。機械式腕時計は淘汰されつつあり、クォーツ時計が全盛期といった状況でした。多くのブランドが存続の危機に直面し、ブライトリングも例外ではありませんでした。そんな逆境の中、パイロットの為の新しい腕時計としてクロノマットを作り上げ、ブライトリング復興の象徴となっていくのです。
初代クロノマットのベゼルに搭載されていた回転計算尺はナビタイマーへと受け継がれていく事となりますが、クロノマットのベゼルには新たに「ライダータブ」と呼ばれるパーツが採用されました。
これは12、3、6、9時位置に配置された突起であり、パイロットがグローブをはめた手でも容易に操作がしやすいように工夫されたものとなっています。デザインとしても秀逸でありますが、万が一時計を落としてしまった際などに風防が直接触れ、割れてしまうなどの事故を防ぐ事にも繋がっていますので機能的です。

こうした個性的でアイコニックなパーツを備えたクロノマットはブライトリングの中でも大きな魅力を放つモデルではないでしょうか。
③Ref.AB0115 (AB0115111B2A1)

クロノマットの日本限定となり、44mmの無骨なケースサイズが魅力的な一本です。黒文字盤に大きなローマ数字が印象的で視認性も抜群です。大きなインデックスには、夜光塗料が塗布されており、暗所での確認も容易にできます。
ケースや文字盤のサイズに合わせて長針・短針もサイズアップされており、逞しい印象です。外装面で特筆すべきはケースの仕上げにもあるでしょう。鏡面仕上げの部分とベゼルのサテン仕上げのコントラストが実に絶妙です。

スーツで着用するとこのようなイメージです。大きなケースが目立ちます。かといってスーツに似合わないわけではなく、オンオフ共に着用できるモデルです。
ブレスレットの幅も広く、全体的にがっしりとした見た目で、特に腕周りがしっかりされている方にお似合いになる事でしょう。
ブライトリング特有の男性的なデザインと機械的な見た目が一際目を惹く一本です。
④まとめ

ブライトリングならではの男らしい一本です。現在ではクロノマットのリニューアルに伴い、クロノマットJSPは生産終了品となっています。パイロットウォッチらしい無骨なデザインで在りながらも、美しく洗練された外装の仕上げは見る者を惹きつけます。
オンオフ問わず着用でき、ビジネスシーンでも大きく活躍してくれる事でしょう。日本限定仕様というのも特別感があり、所有満足度も高まるのではないでしょうか。