エバンスによるロレックス解説

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技術者視点から見たロレックスここが凄い!

 

エバンスは時計店としては珍しい自社内にアフターサービス部門が存在するウォッチショップです。アフターサービス部には熟練した技術者が在籍し、ロレックスを中心にオーバーホールやユーズドウォッチの整備等を行っています。今回はロレックスの機械的な特徴について、ニューモデルからアンティークまで数多くのロレックスと接しているアフターサービス部の技術者に解説してもらいました。

 

外装面のここが凄い

鍛造によって形作られた密度の高いケースをはじめ、ケース素材のステンレスや針、インデックス、リューズ、チューブなど細かいパーツに至るまで、ロレックスならではの品質へのこだわりが伺えます。

1、ケース製造へのこだわり


(写真:ディープシーのケースとベゼル)

メンテナンスの度に研磨を繰り返しても、形状が保ちやすいロレックスのケース造型は、美しいケース仕上げで知られる「パテックフィリップ」と同様に、鍛造によって作られています。
金属の塊を削って形を作る切削と違い、鍛造による造形では、何度もプレスをして仕上げることで金属の密度が高くなり、堅牢で磨いた時にも美しく、滑らかな仕上がりになります。

時計メーカーでは一般的には切削でケース製作が行われますが、切削は文字通り金属を削って作成しますので金属の目は詰まりません。

『ロレックスのステンレスは素材が固いので研磨作業が難しいんですが、磨き上げると他のブランドと比べて非常に美しくクリアな仕上がりになります。他のブランドは素材が柔らかいものが多く、磨きやすいのですが、何回も磨くとケースの形が変わってしまいますね。』

金属密度の高い鍛造ケースで、永年にわたって使い続ける事が出来る堅牢なオイスターケースは、ロレックスのデザインを支える要となっています。

2、素材へのこだわり


(写真:主な外装部品)

『ロレックスで使われているステンレスはスーパーステンレスと言われる【904Lステンレス】です。時計用の素材として採用しているのは唯一ロレックスだけなんです。』 

一般的に時計用のステンレスの素材は、オーステナイト系ステンレス鋼が使用されます。例えば堅牢なダイバーウォッチで知られる「パネライ」には、ステンレスにモリブデンを添加し、耐蝕性を高めた高級ステンレス316Lが用いられています。316Lはクロムの含有量が18%と多く、素材を錆や腐食から保護する薄い膜「不動態皮膜」を形成します。

しかし、ロレックスではさらにクロム含有量(21%)が多く、強度、腐食に強い904Lという窒素を含んだステンレス鋼を使用しています。904Lは「二相ステンレス鋼」と呼ばれ耐蝕性に優れるオーステナイト系ステンレスと、硬度に優れるフェライト系ステンレスの両方の特徴を併せ持つ材質です。904Lは強度が非常に強く、316Lの2倍以上。本来は化学装置の材料に使用される素材であり、強い酸やアルカリにも侵されにくい優れたステンレスです。非常に高価な素材なので、他のメーカーが使用すると時計単価が非常に高くなってしまうようです。904Lステンレス鋼を鍛造にて成形するには大型のプレスマシンが必要ですが、その高額な設備投資をしてまでも最高のものを作るロレックス。最新が最良と言えます。

また、近年流行のローズゴールドにおいても、ロレックスは改良を加え、新しい合金を開発しました。通常のローズゴールドでは、海やプールに含まれる塩素にさらされると時間がたつにつれて表面が変色し、元の色合いが損なわれてしまいます。そこでロレックスはローズゴールドに少量のプラチナを加えた「エバーローズゴールド」を開発し、経年変化による色の劣化を防いでいます。実際着用するとほとんど気付かない部分ではありますが、ほんの少しの違いでも、トップブランドとしての姿勢、素材へのこだわりが伺えます。

3、針・インデックス


『ロレックスの針やインデックスはゴールド製です。そのため腐食に強いのはもちろん、耐磁性にも優れてますよ。』

超高級ブランドを除き、一般的には針の素材の上にメッキを施し、錆や腐食を防いでいます。しかし、ロレックスは、全ての時計にゴールド製の針・インデックスを使用しています。仕上げに手間をかけることで面が平滑でエッジがしっかりと立ち、立体的で美しい仕上がりとなっています。視認性を確保し、実用性と美しさを兼ね備えています。

4、リューズ・チューブ


『各ブランドの技術の差が見られる部分です。ロレックスは非常に細やかな改良を重ね進化し続けています。』

リューズについては腐食を防ぐため1997年頃からステンレス無垢材、金無垢材を使用するようになりました。ねじ込み部分の金属製チューブは操作性を考え、先端部のネジを切っていない箇所があり、これによりリューズの解除、ねじ込みがスムーズに行える工夫がされています。

 

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ムーブメントのここが凄い

しっかりとした作りが特徴的な自社設計そして自社製造によるムーブメント、精度を追求するためのテンプやヒゲゼンマイ等パーツへのこだわり、ロレックスならではの品質追求によって高いレベルの堅牢性、耐久性、精度を実現しています。

1、自動巻きムーブメント

<左>代表的なムーブメント(Cal.3135)  <右>クロノグラフのムーブメント(Cal.4130)

ロレックスのムーブメントはすべてロレックス社内にて設計・製造されているので自社開発の強みが出ているのではないでしょうか。1988年より生産されているロレックスの基幹ムーブメントCal.3135は、設計時より耐久性を重視した設計のため大径・肉厚ムーブメントでしたが、堅牢性、耐久性、精度とも非常に高いレベルのスペックを備えています。

『実際にオーバーホールを行うと、他のブランドと比べると明らかにパーツ自体に厚みがあり、耐久性に優れていると感じます。また、パーツは組みやすく、組んだだけである程度精度が出せるのはロレックスくらいだと思います。』

ローターが左右どちらに回転してもゼンマイを巻き上げる事が出来る世界初の両方向回転式の自動巻き機構「パーペチュアル」は1931年特許を取得したロレックスの特徴の1つです。一般的な時計では摩耗しやすい切換え車ですが、ロレックスでは1960年代からリバーシングホイールの素材をアルミニウムとし、アルミニウムに陽極酸化皮膜を生成させるレッドアルマイト硬化処理することで、軽量で非常に高い巻上げ効率を実現しています。

改良を重ねられ、デイトジャストを中心にサブマリーナーやディープシーと言った最新モデルにも搭載されるCal.3135は、20年以上たった現在においても時計業界で最も優れたムーブメントと評価されています。 シースルーバックではないにもかかわらず、ロレックスのムーブメントは非常に美しい仕上げとなっています。部品のほとんどは錆や腐食を防ぐロジウムメッキ処理をされ、ぺルラージュ仕上げとサンブラッシュ仕上げを組み合わせた装飾がされています。

『ロレックスのムーブメントの凄いところは、年々進化するところです。ムーブメントの発表後も改良を行い、さらに良いムーブメントにしていこうという姿勢が見えます。』

例えば4番車の先端の窪みをなくし、4番車・丸穴中間車のホゾ穴のオイルを逃がさないように改良。カレンダー部分の日板が接触する部分に石(人工ルビー)を増やしたりと、非常に細かい部分の改良が今でも行われています。

 

2、精度


<左> 青いパーツがパラクロムヒゲゼンマイ(Cal.3132)  <右> 各モデルに見られるCHRONOMETER表記

『ロレックスの高精度は、マイクロステラ・ナットと巻上げヒゲゼンマイによるところが大きいですね。』

ロレックスは、精度においても最も優れた時計メーカーと言われています。 自動巻のモデルには全てスイス公認クロノメーター検査協会の認定受け、文字盤にはそれを示す「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」の表記がされています。クロノメーターは、15日間にも及ぶ厳しい精度検定に合格したものだけに与えられる称号です。

マイクロステラ・ナット

テンプ部分に関しては各ブランドの独創性が出ている部分です。
ロレックスのテンプは、緩急針と呼ばれる精度を調整する針がないフリースプラング・テンプを採用しています。

フリースプラングにするメリット
(1) 1秒間に8振動という高速振動を行う精度の要であるヒゲゼンマイに直接触れるものが無く、摩擦によるヒゲゼンマイの劣化が防げます。
(2) 外的ショックが加わった際、本来触れているものが無いのでヒゲゼンマイを痛める事がなく、耐衝撃性に優れます。
フリースプラング・テンプは現在では最も完成されたシステムと言われています。

「マイクロステラ・ナット」はテンワ(金色の輪)の内側に大小1対ずつの4つの重りを指します、ナット状のゴールド製スクリューを回し、それぞれの比重を変えることで高精度の微調整が行えます。

『マイクロステラ・ナットが、テンワの内側に備え付けられているのは、高速振動状態のテンプの空気抵抗が小さく、影響が少ないので、精度が安定しやすいんです。』

ロレックスに使用されるテンワは直径約10mm。他のブランドに比べ大きく、振動や衝撃に対して影響を受けにくい仕様となっています。

巻上げヒゲゼンマイ(ブレゲヒゲゼンマイ)

巻上げヒゲゼンマイは、高精度を維持するための非常に重要なパーツですが、製作には高い工作精度とコストがかかり大量生産には向きません。パテックフィリップやランゲ&ゾーネなどの高級メーカーに使用されている程度です。
しかし、従来の巻上げヒゲゼンマイでは精度の安定は十分でしたが、素材の関係上、磁界の影響が受けやすい性質を持もっていました。そのためロレックスは5年にも及ぶ研究期間を経て2005年にブルーのパラクロム製ヒゲゼンマイを開発。同年に発表された新型GMTマスターⅡに初めて採用され、現在では多くのムーブメントに装備されています。

『巻き上げ式のヘアスプリング(巻上げヒゲゼンマイ)は、一般的に使用されるヘアスプリング(平ヒゲゼンマイ)に比べると、テンプの回転に合わせて同心円状に収縮膨張を繰り返す為、ヒゲゼンマイの重心が移動しません。そのため姿勢差が少なく安定した精度がでるんです。』

パラクロム・ヒゲゼンマイはニオブを主材料とし、ジルコニウム、ハフニウム等で構成された合金です。温度変化に強く、耐磁性に優れ、高い復元力により衝撃を受けた際の影響が少ないのが特徴で、従来のヒゲゼンマイに比べて約10倍の耐衝撃性を備えています。色は美しいブルーですが、美的なものではなく、耐久力を向上させる為の焼による酸化膜です。
レアメタルであるニオブは銀色の金属で、ニオブを混ぜた鋼材は、耐熱性に優れ、衝撃にも強い一種の形状記憶合金で、スペースシャトルや石油のパイプラインなどに使用されています。ジルコニウムもまたレアメタル。銀白色の金属で、表面には大量の酸素や窒素を吸着させることができます。酸化膜や窒化膜が形成されたジルコニウムは耐蝕性が強く、ほとんどの化学物質と反応せず、耐熱性(融点:1852℃)もあるので、医療機器や電子材料に使用されています。

 

100年以上の歴史の中で、腕時計界に数々の技術的な革命をもたらし、様々な機能的な進化を重ね続けてきたブランド ロレックス。機械式腕時計の代表格としても語られるロレックスの時計は、技術者たちのテクニカルな視点で見ても、精度が高く、高品質であり、今でも進化を続けている素晴らしい時計なのです。

 
 

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